「ウソが正義」
- 渡邉 定好
- 4月22日
- 読了時間: 6分
武田邦彦氏のYouTube動画では、現代日本社会において、自己の利益のために嘘が正当化される風潮が広がっていると警鐘を鳴らしています。大学教授、メディア、政治家といった指導層でさえ、嘘をつくことが目的達成の手段となりつつある現状を嘆いています。これは、正直さを重んじる日本古来の道徳観とは相容れないものであり、社会の信頼を揺るがす問題だと指摘しています。氏は、一部の政治団体の例を挙げながら、嘘が平然と語られ、真実が隠蔽される実態を憂い、嘘のない社会の再構築を訴えています。現代日本における「嘘が正義」の考察
近代日本の人生における「嘘が正義」という考え方は、伝統的な日本の価値観とどのように異なるのか。
近代日本の人生における「嘘が正義」という考え方は、伝統的な日本の価値観とは根本的に異なります。
伝統的な日本の価値観においては、嘘は強く否定されるべきものでした。「日張りクラブ」を聞いている皆さんや落合会の皆さんに対して、武田邦彦氏は「嘘が正義」という現代日本の状況は暗い話でありながら、これから落語合を進めていく上で知っておくべきことだと述べています。
嘘は「泥棒の始まり」であると、子供の頃から大人によって教えられていた。誰からともなく、「嘘をついちゃいけない」「嘘は泥棒の始まりだ」という意識のもとで成長してきたと語られています。
日本文明には「嘘が正義」という概念は存在せず、お天道様の下では嘘をついてはいけないという考え方が根底にありました。
どんなに自分のところに金が来ても、嘘をついて金儲けをすることは正義ではないとされていました。
武田氏は、日本人は嘘が嫌いであり、拾った現金を警察署に届けるといった行為は、その典型的な例だと述べています。
一方、現代日本では「嘘が正義」という考え方が広がっていると武田氏は警鐘を鳴らしています。
自分が得になるのであれば嘘は正義であるという考え方は、ヨーロッパの文明に近いと指摘されています。ヨーロッパの文明では、自分が得になれば嘘をついても良いという考え方があり、力のある者が勝つ、自己実現のためには嘘も許容されるといった考え方があると言えます。中国もほぼ同様の考え方だとされています。
トランプ大統領の投票用紙をバイデン氏に書き換えても、バイデン氏が勝てばそれが正義となるという例を挙げ、勝てば官軍という考え方は、行為の正当性を結果で判断するヨーロッパ的な考え方だと説明しています。
現代の日本は悲しいことに、嘘が正義に変わってしまったと武田氏は述べています。
その具体的な例として、大学教授の世界を挙げています。研究費の審査制が導入された結果、多くの大学教授が研究費を得るために嘘をついている現状があると指摘しています。
研究費は審査制になり、研究内容を申請する必要がありますが、学問は有望かどうかが始めから分からないものです。しかし、政府の方針に沿った研究でないと合格できないため、研究者は自分の説を曲げざるを得ない状況があり、結果として嘘をつかざるを得なくなっています。
メディア(NHKなど)も、自分たちの利益のために過去の誤った報道を訂正しなかったり、意図的に事実と異なる報道をしたりする例を挙げています。
政治の世界でも、裏金問題など、自分たちの利益のために嘘が使われることがあると示唆されています。
武田氏は、社会の指導層において「自分に得になるなら嘘はいい」という文化が広がってしまっていると憂慮しています。
しかし、武田氏は、まだ多くの一般の日本人は伝統的な道徳観を持っており、嘘を嫌う心を持っていると指摘しています。だからこそ、嘘をつく際に隠したり、正当化しようとしたりする傾向が見られるとしています。
このように、「嘘が正義」という考え方は、嘘を強く戒め、真実を重んじるという伝統的な日本の価値観とは明確に対立するものです。現代日本においてこの考え方が広まっている現状に対し、武田氏は警鐘を鳴らし、嘘は泥棒の始まりであるという日本古来の道徳を再び重視する社会を築き直すべきだと訴えています。
研究費審査制は大学の研究に何をもたらしたか。
研究費審査制は、1990年代に大学の研究に対して以下のような影響をもたらしました。
研究費の獲得競争の激化と研究者の従属化: 研究費が審査制になったことで、大学の先生は研究を行うために審査に通る研究計画を提出する必要が生じました。しかし、学問の性質上、研究の成果は予測不可能であり、有望かどうかが शुरू में分からない場合が多くあります。
政府方針への迎合: 審査を行うのは、学長経験者や社会的に活動している人、学者仲間で認められている人などであり、これらの人々は政府の委員会などの委員を務めていることが多いため、結果的に政府が推進しようとする研究が通りやすくなります。したがって、研究者は研究費を得るために、自身の研究テーマを政府の方針に沿うように曲げざるを得ない状況が生まれます。武田邦彦氏は、地球温暖化対策研究などがその例だと指摘しています。
「嘘が正義」という状況の蔓延: 研究費を獲得するために、多くの大学教授が研究内容を誇張したり、実際に行わない研究計画を提出したりする「嘘」をつかざるを得ない状況に陥っています。武田氏は、大学教授の8割から9割が嘘をついていると述べています。これは、嘘をつかなければ研究もできず、学生を教育することも困難になるためです。
若手研究者の困難: 武田氏は、特に40歳前後の助教授クラスの研究者が、政府の方針に沿わない研究を行った場合、学問的な成果を上げられず、教授になることも難しいと指摘しています。
研究の停滞と歪曲: 本来、自由な発想に基づいて行われるべき学問研究が、研究費獲得のために政府の意向に左右されることで、研究の多様性や独創性が失われ、結果的に日本の学術研究全体の発展を阻害する可能性があります。武田氏は、自身が思う通りの研究申請をした結果、ほとんど研究費を得られなかった経験を語っています。その結果、学生に自分が間違っていると思う嘘の研究をさせなければならないという状況に陥ることを避けるため、民間の協力を得て研究費を確保していました。
武田氏は、このような現状を「現代日本は嘘が正義に変わってしまった」と非常に憂慮しており、研究費審査制が大学の研究現場に深刻な問題を 일으키고 いると警鐘を鳴らしています。
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